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「ソロ演奏の魅力」コラム・バイ・オガワ その1

みなさんは「ソロ演奏」、聴きますか?

 

私はレコードやCDを買うようになっていろいろな音楽を聴くようになって以来、じっくり音を重ねて作られた「スタジオ録音」の音楽を中心に聴いていました。
時間をかけて練られたアレンジ、エフェクトによるギミック、ミキシングの質感等々に夢中にさせられてしまったからです。

 

しかしながら、すばらしい音楽はそうした要素をもつ録音に限られません。
その場の雰囲気をそっくりそのまま閉じ込めたような生々しい録音、例えばジャズや即興演奏、あるいはそうしたジャンルに縛られない数々のライブ音源、そこでの名演奏を私たちは耳にすることができます。
私も少しあとになってから、その魅力に気づかされることとなりました。

 

なかでも、たったひとりで聴衆の期待を背負い、身体や楽器の限界と向き合うことで行われる「ソロ演奏」は、生演奏を収めた録音のエッセンスがさらにぎゅっと凝縮されているように感じられるのです。
今回はじめてとなる私のコラムでは、これまであまり「ソロ演奏」になじみがなかったという方に向けて、その魅力を私なりにお伝えしたいと思います!

 

 

まず最初に取り上げるのは、Thelonious Monkの” I’m Getting Sentimental Over You”(『Thelonious Himself』収録)。
モンクの多くの録音に共通することですが、「次はどんな音を出そう?」と考えているような間のある演奏が特徴的です。
その瞬間ごとに生み出されるアイデアをどんどん演奏に反映させていこうとするその姿勢は、数多くの後進のミュージシャンにも大きく影響を与えています。
流れるようなテクニカルな演奏だけが良い演奏ではないということに改めて気づかされますね。

 

 

 

続いては、モンクからの影響も色濃いピアニスト、Mal Waldronによる “All Alone”(『All Alone』収録)。
メランコリックでブルージーな旋律が印象的で、日本でも人気の高い楽曲ですが、注目すべきは鍵盤を連打することで演奏されている持続音!
ピアノという楽器は、一度鍵盤を押すとその音はだんだんと弱くなり、やがて消えてしまうのがふつうです。
しかし、ここでウォルドロンはそうした構造を逆手にとり、連続で同じ音を鳴らすことによって、通常とは異なるピアノの音色の新たな側面を生み出しています。
楽器の新たな響きの追求をよりじっくり楽しめるのもソロ演奏の良いところですね。

 

 

 

ピアニストが続きましたが、次は打って変わってマルチ・リード奏者Eric Dolphyの作品です。
アルバム『Far Cry』にて、ジャズ・スタンダード”Tenderly”を素材に物凄い独奏を繰り広げています。
サックスを含む管楽器は一度に複数の音を出すことができない単音楽器ですが、構成音を分解して素早く鳴らすことでコードを表現したり、そこからさらにメロディとコードの間を縦横無尽に行き来したり、あるいは調和から外れる音まで自由に飛んでいったりなどなど、サックスという楽器の持つポテンシャルを最大限にまで発揮させています。
余談ですが、ここの曲順もすばらしくて、次の” It’s Magic“に入っていくところもまた最高なので、ぜひ続けて聴いてみてくださいね。

 

 

 

最後は比較的近年の録音で、私の大好きなギタリストMarc Ribotの『Saints』からそのタイトル曲を取り上げます。
これはフリー・ジャズ最重要人物の一人であるAlbert Aylerの曲で、アイラー独特のサックスのビブラートを、通常より低くチューニングしたと思われるギターでオマージュしつつ、よく耳にするものとは異なるギターの響きをどんどん探求していくような演奏になっています。さらには、ビブラートによってギターの弦がゴリゴリ鳴っている音や、隣の弦から小さく漏れ出る音、意図せず鳴った服の擦れる音など、様々な音がそのまま封じ込められていて、その場に現れるあらゆる音の要素に対して私たちの注意を向けさせてくれる、そんな録音にもなっています。

 

 

 

張り切りすぎて少し長くなってしまいましたが、ここまでご紹介した「ソロ演奏」の注目ポイントはあくまで私個人のものであり、そのごく一部です。
どういったポイントに注目してどのように楽しむかは、一人ひとり当然ちがうので、これまでこうした録音に馴染みがなかったという方も、このコラムを足掛かりに自分の楽しみ方を見つけてみてください!
今回ご紹介した作品は比較的入手しやすいものが多く(Marc Ribotは少し手に入りづらいかも……)、ジャズや即興演奏の入口にするのにも良い作品ですよ〜!

 

こういう話がもっとしたいので、お好きな方や興味があるという方はぜひお店に来てお話し相手になっていただけたら嬉しいです!