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時間の使い方

先日、休暇を取って北海道へ行ってきました。

何度も訪れている北海道もこれで10度目。

鉄道旅を好む夫に連れられ、ほとんど毎年のように北海道を訪れている我々の旅は、東京上野駅~札幌駅を走る寝台特急「北斗星」から始まり、青森~札幌駅を走る夜行急行「はまなす」、道内のローカル列車はもちろん、ストーブが焚かれる駅舎やホームで食べる駅蕎麦も旅の醍醐味だ。

一生訪れる事はなかったであろう場所に、意図せずとして立ち寄れたり、通り過ぎる家や道にも列車からしか見ることのできない景色があって結構面白い。お酒も飲めるしね。

実家が地下鉄の最寄り駅から徒歩一分という環境だったが故に、大人になるまで名鉄や近鉄、JRの乗り方すら知らなかった私にとって、それまで全く興味のなかった”電車”というものが、”鉄道”を知って以来、旅の概念を覆すほどに楽しいものになった。

ただ、残念ながら思い出深い風景のほとんどが今や廃線や閉業となり、もう二度と味わうことのできない旅ばかりになってしまった。

北海道新幹線の開通や格安航空の運行など、これまでより便利になったことで”旅に与えられた時間”が増えた一方で、”旅を味わう時間”を失ってしまったように感じる。

そのどちらも大切な時間には変わりないのだけれど。

 

今回の旅の目的は、”さよならキハ40(国鉄時代の車両)”と” 美瑛にあるレストランSSAW”

出発前日に若林が飾った壁レコが何となく目に付き「若林、四季でちゃんと揃えたのかな~?粋だね〜」なんて話しながら眺めていたウィンダム・ヒル・レコードの3枚。

(ちなみに当店の壁ジャケは右側が店主トン、左側が若林が担当している)

その創設者であるウィリアム・アッカーマンが今回の旅の目的地の一つでもある美瑛の街と深い関係があるとはつゆ知らず、名古屋を出発した。

美瑛駅から一駅離れた美馬牛駅(びばうし)に降り立った我々は、目的地であるSSAWまで散歩がてら歩いて向かうことに。

(美瑛の交通安全の旗はほぼグレイトフル・デッド)

(美馬牛駅から少し歩くと長い一本道に)

(ただの二階美容師も北海道ではこの臨場感)

 

(途中休憩で立ち寄った四季彩の丘でラベンダー柄のハンカチを買う夫というか、おばあ)

 

(四季彩の丘からの景色)

 

(四季彩の丘を抜けると、農家の方々によって自然に作られた丘が見えてくる)

 

(丘はじゃがいもや小麦、てんさいの畑だそう)

(白樺回廊が現れ、まもなく目的地に)

 

 

歩くこと約一時間、SSAW BIEIに到着。

予約より少し早く着いたので、すぐ隣りにある拓真館へ。

(拓真館)

入口を入るとレコードが飾られており、横で夫が「あ、これ昨日話してたやつだよ!若林が飾ってたあのジャケットの」と教えてくれて驚き。

以下、拓真館より

【拓真館の倉庫から出てきた1枚のレコードをきっかけに、世界的なギタリストであり、作曲家、プロデューサーでもあるウィリアムアッカーマン氏が、1988年にリリースした名盤「IMAGINARY ROADS」

ジャケットには私の祖父である写真家・前田真三が撮影した「麦畑の道」が使われていました。レコードを初めて聴き、アッカーマンのギターのどこまでも純粋で優しく、心のこもった繊細であたたかな演奏に心震えました。

アッカーマンは生前の祖父と親交があり、1987年の開館の年に、拓真館を訪れて小さなコンサートを開いてくれたこともあったそうです。二人は親子ほど歳も離れていましたが、自然への眼差しや創作への姿勢など、おそらく心の深い部分で共鳴するものがあったのでしょう。それから37年の歳月の経った現代で、アッカーマンの音楽と祖父の写真を再び拓真館で出合わせることができたらと、本展を企画しました。

IMAGINARY ROADSー「心の中の道」とでも訳すことができるでしょうか。道を見るとなぜか懐かしさを感じます。人は誰しもが自分だけの道を、心の深い場所にひっそりと持っているのかもしれません。本展ではアッカーマンの音楽と合わせて、心象風景とも思えるような道のある丘の風景写真を中心に展示いたします。前田真三の作品はもちろん、その息子・前田晃、孫・前田景へと続く40年以上に渡る写真家三代の足跡も辿っていただける構成です。ギターの音色と共に、丘へと続く道を歩いてみてください。】

 

偶然にも昨日何気なく話していたレコードに纏わる展示会にたどり着き、点と点が繋がったような不思議な気持ちでその場を後に。

 

(購入した写真集は二階の本棚に置いてありますので、美瑛の美しい丘を是非ご覧ください)

 

時間になり、SSAWへ。

応接間として使われていた建物をお店へとリノベーションし、レンガの煙突や薪ストーブは当時のものを利用しているという店内。

FAMを作る際には参考にしたお店の一つでもあるので、食事だけでなく店内を見られるのも楽しみにしていました。

(イサム・ノグチに描き込まれた鹿児島 陸さんの絵)

 

(美瑛の丘をイメージした丘のスープは早々に胃も心もグッとつかまれる美味しさ)

 

(秋野菜の丸かじりプレート)

 

(るくる秋刀魚と霜降りしめじ あと三個は食べられたな)

 

(秋鮭とセイボリーのシチューと紫人参ハーブごはん)

 

(紅玉のガトー・タルトタタン)

 

美瑛での時間も列車の時刻が迫り、あっという間におしまい。

旅に与えられた時間も、旅を味わう時間も結局は短くあっという間だな〜なんてボヤいていると最後に目にしたこちら。

 

 

ここにある白樺回廊は、30年以上前に拓真館の創設者の前田真三さんが植樹したものだそう。未来を想像し、長い年月をかけて楽しむ時間の使い方。

それにより完成された風景を目の当たりにし、目の前の時間を惜しむばかりでは面白くないぞと言われたようでした。

 

とても美しい場所でした。

 

以下、旅のハイライト写真

(大沼公園にて、途中あまりの雨に遊覧船に飛び乗ると、奇跡的なタイミングで貸切に)

 

(バブル時代に建てられたであろうローカルホテルに宿泊。インテリアが良い)

 

(大沼名物の大沼だんごは胡麻が抜群に美味しい。当日中に召し上がりくださいとのことでお土産に出来ず)

 

(直角だけど不思議と居心地の良いボックスシート)

 

(北海道でのキハ40ともこれでお別れかな)

 

(駅舎のベンチと跨線橋)

久しぶりの更新がただの家族旅行記になってしまいましたが、2024年の気持ち良かった秋を忘れないように。